大池病院たより

2013年6月15日

栄養課の取り組み2

大池病院の食事では、大きく分けて「一般食」と「特別食」があります。一般食には特別な制限はありませんが、特別食はその疾患に応じた制限のある食事となります。両方合わせて10種類以上の食種があります。また、食形態は「形」「一口大」「キザミ」「ミキサー」「ゼリー」の5種類に分かれています。このように、年齢、身体状況、病状、歯の状態、飲み込みの状態等に合わせて、患者さんに見合う食事を提供しています。

高齢になってくると歯が弱くなり、飲み込みも悪くなってくるので、使える食材も限られてきます。硬い物や粘りがある物は避けるようにしています。ですが、あれもダメ、これもダメと言うことは、患者さんの楽しみを奪うことになります。食べたい物を諦める前に、何か他の食材を代わりに使うことによって、食べられるようにならないか考えるのも栄養士の仕事です。

4月の作業療法での調理実習では、『豆腐白玉ぜんざい』を作りました。通常では、飲み込みが難しい患者さんに餅や団子のように粘り気が強い物は提供しにくいのですが、一工夫加えることで安心して食べられるようになりました。
本来、白玉団子は白玉粉に水を加えて作るのですが、今回は同量の白玉粉と絹ごし豆腐に水を加えて作りました。絹ごし豆腐が入っているので、団子らしい弾力も残しつつ、ふんわり軟らかな団子に仕上がりました。
患者さんにも好評で、「軟らかくて、食べやすい。」とか「お団子が食べられて嬉しい。」という喜びの声を頂き、食べたい物が食べられるということは心が豊かになると改めて気付かされました。また、「豆腐を混ぜるというアイデアが面白い。」とか、「豆腐が入っているのに、全然違和感がない。」という声を頂き、意外性のあるメニューで楽しんで頂くことも大切だと思いました。
ほとんどの方がおかわりを希望して下さり、余るかなと思っていた豆腐白玉とぜんざいが、あっという間に無くなってしまいました。患者さんが喜んで食べている姿を見ると、栄養士として本当に嬉しいです。

美味しい物を食べることは、患者さんの日々の楽しみの一つです。だからこそ、噛む力が弱いことや、飲み込むのが難しいことで、他の患者さんと同じ物が食べられないことは残念なことです。
調理実習では、参加して下さった患者さん全員が、同じ物を一緒に楽しく食べられるようなメニューを考えたいと思っています。今回もリクエストをたくさん頂いたので、今後も色々な工夫をしていきたいと思います。